◆大阪大学大学院博士課程を修了しました
2022年9月22日 大阪大大学院博士課程を修了し、「小児発達学博士」を取得しました。2015年に大阪大学大学院連合小児発達学研究科後期博士課程に入学し、心理学、医学、脳科学等を学びました。新しいことを学ぶのはとても楽しくてワクワクしました。一方で、研究の道は大変厳しいものでした。研究協力校募集に始まって、同意書の取得、膨大なアンケートのデータ入力と解析、英語での論文執筆などなど、苦労の連続でした。研究の道に進まれている方々の大変さを、身をもって実感しました。2019年9月から2020年8月まではカンボジアで現地の小学生の子供たちを教えるなどして休学もしましたが、その間も時間を見つけて論文の作成を続けました。そして、今年の4月に海外ジャーナルに採用されました。よろしければ下記からご覧ください。
【海外ジャーナル】
小学生の自尊心を向上させるための学校ベースのメンタルヘルスプログラムに関する準実験対照研究
時間はかかりましたが、ようやく修了式を迎えられました。この日まで、根気強くご指導いただきました松﨑教授を始め、励まし続けてくれた友人達や家族に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。この大学院で学ばせていただいたことを今後の人生に生かしていきたいです。そして、「小児発達学博士」の名に恥じぬよう更に精進いたします。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
◆62歳 元教員 阪大大学院を修了
元小学校教員の岩堀美雪さん(62)=鯖江市平井町=が22日、大阪大大学院博士課程を7年かけて修了した。大学院で子どもの自己肯定感を高める独自の教育プログラム『宝物ファイルプログラム』の効果を科学的に検証。学びを生かし、国内外の子どもたちへの普及を目指す。
岩堀さんは31年間、県内で教師を務め、プログラムを実践。けんかが多い児童が友達を思いやれるようになるなどの効果が見られた。2011(平成23)年には取り組みが評価され中日教育賞を受賞しているが、効果を検証したことはなかった。
2015年に教員を退職。一人でも多くの子どもたちにプログラムを広めたいと、同年4月に大阪大大学院の連合小児発達学研究科に進んだ。大学院では子どもの心の問題を研究することにし、医学の専門用語など初めて聞く言葉ばかりだった。最初は論文すらまともに読めなかった。
同級生は、ほぼ年下。「年齢も職業もばらばら。大変だったが、教えてもらったり、励まし合ったりして、一緒に乗り越えた」と振り返る。宝物ファイルプログラムの効果の検証は在学中、各地の教員に協力してもらった。
中部3県6市の小学2~6年生の計794人に1年間プログラムを実施。取り組みの前後で、児童に自尊心や家族関係などを問うアンケートを行った。プログラムを受けない児童592人にも同じタイミングでアンケートを実施。
その結果、受けた児童は、自尊心の平均値が53.0%から58.2%と5.2㌽高まった。未実施の児童は0.3㌽下がった。結果をまとめた岩堀さんの論文は、社会科学分野の海外ジャーナルに掲載されている。岩堀さんは「まだまだ研究段階だが、宝物ファイルが自己肯定感の向上に有効だと分かった」と手応えを得ている。
論文執筆は過酷だった。複数のジャーナルに出したが、落ち続けた。母親の介護も重なった。「正直、しんどかった。でも、教員を辞めて大学院に飛び込んだ。もう後には引けなかった」。論文が通ったのは今年4月。5年間かかった。「夢じゃないかと思った。苦労がとにかく報われた」と喜ぶ。
岩堀さんは現在、プログラムを広めるため児童向けのテキストを制作している。教材販売会社と協力して、全国の小学校に届けたいと考えている。今月22日、大学院の学位記授与式に出席した。「子どもたちが自分の良いところに気付いて、自分も友だちも大好きになってほしい」。学位記を手に決意を新たにした。