机に座らなかった子が1年間で驚くほどやる気が出た
3年生の4月当初は,授業中もなかなか席につかず,教室の隅っこから上目使いで睨むように私を見ていた
3年生の男子どうにかして席に着かせても,教科書やノートをまともに開けようとはしませんでした。宿題もやってこない日の方が多く,やってきたとしても,二つのうち一つだけ,というような状態でした。
友達に対して,些細なことで腹を立て,毎日喧嘩が絶えませんでした。
クラスのみんなが使っている漢字や計算のドリルもどんどん遅れていきました。授業の終わりに,「このページまで直し終わった人から休み時間にしようね。」と言っても,
途中で遊びに行ってしまって,気がつくと教室にいないということも度々ありました。
そんな彼に対して,どうするといいのか手探り状態でした。まずはできることから始めてみようと思い,
放課後の個別指導をすることにしました。どうにかみんなに追いつき,
授業の時に同じスタートラインに立てることを目標に,週1回程度,
3時過ぎから5時半までの個別指導が始まりました。彼は,最初の頃は集中力がなかったものの,
途中から少しずつ集中して漢字の書き取りができるようになってきました。計算も時間がかったが,
正確にできるようになってきました。二学期になると,「先生,今度いつ放課後の勉強やるんですか?」と言って,
放課後の勉強を楽しみにするようになってきました。嫌がる様子は全くありません。
宿題も,一学期に比べると提出する日が増えてきました。そして・・・。2学期途中の算数。
ある単元のまとめのテストで,何と彼は満点を取ったのです。嬉しそうな顔でした。
以来,周りの子からも「おまえはやればできるからなぁ。」と認められるようになりました。そして,3学期。もう宿題を忘れることはなくなりました。休み時間になっても,
ドリルやプリントの直しをせっせと持ってくる。ある日の4時間目の終わりのことです。
「もう給食の時間になったから,このドリルの直しは給食が終ってからね。」
そう言って私は手を洗い,おかずを分けるのを手伝い始めました。
そして,何気なく自分の机の方を見ると・・・。誰もいない机に向かって,
Cがせっせとドリルの直しの続きをしています。一心不乱に問題に向かう小さな背中。
その背中を見ながら,私は,涙が出そうになりました。4月当初のCの様子を思い出し,
「ああ,本当に成長したな。」と。
3年生の男子どうにかして席に着かせても,教科書やノートをまともに開けようとはしませんでした。宿題もやってこない日の方が多く,やってきたとしても,二つのうち一つだけ,というような状態でした。
友達に対して,些細なことで腹を立て,毎日喧嘩が絶えませんでした。
クラスのみんなが使っている漢字や計算のドリルもどんどん遅れていきました。授業の終わりに,「このページまで直し終わった人から休み時間にしようね。」と言っても,
途中で遊びに行ってしまって,気がつくと教室にいないということも度々ありました。
そんな彼に対して,どうするといいのか手探り状態でした。まずはできることから始めてみようと思い,
放課後の個別指導をすることにしました。どうにかみんなに追いつき,
授業の時に同じスタートラインに立てることを目標に,週1回程度,
3時過ぎから5時半までの個別指導が始まりました。彼は,最初の頃は集中力がなかったものの,
途中から少しずつ集中して漢字の書き取りができるようになってきました。計算も時間がかったが,
正確にできるようになってきました。二学期になると,「先生,今度いつ放課後の勉強やるんですか?」と言って,
放課後の勉強を楽しみにするようになってきました。嫌がる様子は全くありません。
宿題も,一学期に比べると提出する日が増えてきました。そして・・・。2学期途中の算数。
ある単元のまとめのテストで,何と彼は満点を取ったのです。嬉しそうな顔でした。
以来,周りの子からも「おまえはやればできるからなぁ。」と認められるようになりました。そして,3学期。もう宿題を忘れることはなくなりました。休み時間になっても,
ドリルやプリントの直しをせっせと持ってくる。ある日の4時間目の終わりのことです。
「もう給食の時間になったから,このドリルの直しは給食が終ってからね。」
そう言って私は手を洗い,おかずを分けるのを手伝い始めました。
そして,何気なく自分の机の方を見ると・・・。誰もいない机に向かって,
Cがせっせとドリルの直しの続きをしています。一心不乱に問題に向かう小さな背中。
その背中を見ながら,私は,涙が出そうになりました。4月当初のCの様子を思い出し,
「ああ,本当に成長したな。」と。
さらに,3月に,「3年生になって成長したこと」を書きました。彼が,
「書きました。」と持ってきた紙には,10個ほど書いてありました。
「二重とびが連続でできるようになった。」などに交じって,
「勉強が好きになってきた。」という言葉もありました。それもうれしかったのですが,
私が何よりうれしかったのは,この一文を見つけたときでした。
「自分のことが好きになった。」
驚いた。まさかCがこんなことを書いてくるなんて思いもよりません。
私は,「自分ができるようになったことも書くといいよ。」という言葉をかけただけで,
「自分のことを好きになったかどうかについて書くといいよ。」とは一言も言っていませんでした。思わず,
「今までは好きじゃなかったの?」
と聞きました。すると,Cは真っすぐに私の目を見つめて,
「はい。嫌いでした。」と答えたのです。
胸が詰まった。帰りの車の中で,「3年生の子がそんなことを考えていたなんて。
でも,よかったな。自分のことを好きになってくれて。」そう思うと,うれしくて涙が止まりませんでした。